ドイツ・キャッシュレス生活においてGirocard(旧EC-Karte)がとても大事だった話

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ドイツ・ベルリンへ引っ越してきて早くも数ヶ月が経過しようとしています。

今回はドイツのキャッシュレスに関する話です。

ドイツはヨーロッパの中でも比較的キャッシュレスでの決済率が低い国として知られます。事前にそのことは把握していたのですが、実際にベルリンで暮らしてみてどうだったのか。

結論から言うと、ベルリン市内で生活する上ではほとんどカード決済でOKです。

しかし、お店によっては現金での支払いが必要となるので、小銭や小さいお札(5、10、20€札)を持ち合わせておくと良いと思います。

私が使用しているカードはソニー銀行のVISAデビットカード、またはドイツのオンライン銀行N26のデビットカードです。日本のクレジットカードはあまり試したことはありませんが、例の如くお店のカウンターにVISAやMasterのブランドロゴがあれば基本的に使用できます。

ソニー銀行に関してはこちらの記事をご覧ください。

1. Girocardが必要な理由

先ほどお伝えしたように通常の生活であればN26やソニー銀行のデビットカードで事足りるのですが、つい先日例外のケースに遭遇し、「Girocard」の存在について知りました。

ドイツ在住の方であれば良くご存知の通り、何かと住民局Bürgeramt)のお世話になることが多いのではないでしょうか?

移住直後であれば住民登録、ビザの手続きなど事あるごとに予約をとって住民局で手続きする必要があります。

住民局・Bürgeramtで免許書き換えへ

私もつい先日、日本の免許証を書き換えようと住民局に向かいました。

この内容も別記事で詳細をお話ししますが、しっかりと書類など準備した結果、割とスムーズに進んでいきました。

最後の最後、手数料の支払いまでは。。。

最後35€を支払おうとソニー銀行のデビットカードをタッチしようとした瞬間、役所の方が一言

「そのカードはダメ」

「え?なんで?」

と困惑していたところ、その方によると

「ドイツ国内の銀行カードじゃないとダメ」

とのことでした。

「よし、わかりました。ではこちらで。」

とN26のカードで決済しようとしたところ、またも止められ

「そのカードはオンライン銀行のカードだからダメ」

と一蹴。

「ドイツの銀行ですよね?」

と聞き返しましたが答えは

「ノー」

納得できないまま押し問答が続き、最後にその方が

EC(イーツィー)カードじゃないと受け付けないよ」

と呆れ顔で一言。そのまま手続きは強制終了で後日予約を取り直せとのこと。

結局のところ何がいけなかったのか?

完全に落ち度は私にありました。

サイト上のアポイントメント予約画面に、その住民局ではGirocardでの決済のみ受付可と明確に記載がありました。

「Girocard」を持たない私は、キャッシュでの受け付けを行っている住民局で手続きを進めなければいけなかったのです。

では、役所の方の言っていた「EC(イーツィー)カード」とは何のことだったのか。これは2007年に「Girocard」という名称に切り替わるまで使われていた名称で、「Electronic Cash」を表しています。

さらに遡ると「Electronic Cash」が登場するまで、「eurocheque(ユーロチェック)」というヨーロッパ圏内で使われていた小切手が決済手段として存在していました。ドイツではその「eurocheque」が廃止された際、新しいカード決済手段として「Electronic Cash」として「EC」部分を再利用したそうです。

こんな背景もあり、「Girocard」は通称「EC-Karte (英:EC-Card)」としても認識されています。

2. Girocardって何?

では「Girocard」とは何なのか。

先述の通り、2007年に「EC-Karte」が前身で、ドイツの銀行が発行するデビットカードのことです。

下図のロゴが目印です。公式サイトはこちら

引用)公式サイトより

機能的な面でいうと、銀行口座残高内での決済が可能な普通のデビットカードです。

Most girocards are equipped with a co-brand (Maestro / VPay / JCB) to secure international acceptance. This allows girocard cardholders to pay electronically and withdraw cash in foreign countries.

引用)Co-Branding:https://www.girocard.eu/english/

「Girocard」という名称はドイツ国内でのみ利用されており、多くの銀行で発行するカードには「Maestro (Mastercard) / VPay (Visa Europe) / JCB」などのクレジットカードで有名な国際ブランドのデビット用のブランドが搭載されています。

これらによって、ドイツ国内だけでなくドイツ外でも通常のデビットカードとして利用することが可能です。

結局のところ住民局ではGirocardが必要だったのか?

この問いに関しては正直なところ、良くわかっておりません。

そのカード決済のデバイスを見た感じでは他のお店で使われているものと違いありませんでしたので、担当者に気づかれなければそのまま決済できた可能性もあります

ドイツでの役所手続きは良くも悪くも担当者次第なところがあり、その担当者を説得できればOK、ダメと言われればダメです。

ただし、ダメと言われても、引き下がらずにこちらが正しいことを証明すれば受け入れてくれます。(その情報が書かれた書類やWebサイトのコピーなどを見せることで)

その点から言うと今回「Girocard」は完全に決済手段としてHPに明記されていたので、反論の余地がありませんでした。

3. Girocardが発行できる銀行オススメ

そんなこんなで「Girocard」という存在を知り、必須と言わないまでもドイツで生活をする上で、あれば便利なものとして考えるようになりました。

実際にこの出来事のあと、会社の同僚に尋ねてみたところドイツ生活が長い方はみなさん持っているカードでした。

そこで私自身もGirocardが欲しいと考え、いくつか候補を探しましたのでご紹介します。

Sparkasse

私の知り合いのドイツ人、ドイツ語が話せる外国人の中で圧倒的なシェアを誇っていたため挙げました。

個人的には口座維持費が無料ではない時点で、候補から外しました。ただ歴史が長く信頼できる点、また規模の大きい銀行ですので、その点は安心して利用できると思います。簡単にメリットをあげると下記のような点です。

  • ATM数最大規模
  • 必要書類明記
  • 学生に優しい(24歳以下は口座維持費無料)
引用)公式サイトより

Comdirect

私が個人的にオススメするのがオンラインバンクのComdirectです。

引用)公式サイトより

口座開設の手続きは基本的にオンラインです。「POSTIDENT」と呼ばれる身元確認のため、郵便局へ足を運ばなければいけない点は面倒ですが、ドイツ語が話せない方でも比較的ハードルの低いプロセスです。

「POSTIDENT」に関してはこちらの記事を参考にしてください。Comdirect口座開設時の身元確認は発行されたクーポン(バーコードのようなもの)をプリントアウトし、パスポートと共に郵便局または支店に持って行って認証するだけでした。

Santander

そして最後にオススメする銀行がSantanderです。

引用)公式サイトより

スペインを拠点とする銀行で、ヨーロッパ各地に支店を構えており、もちろんドイツでも事業を展開しています。

私がこのGirocardの話をした直後に、私の知人がこちらの銀行で口座開設していました。結果的にComdirectよりも早く開設できていました(笑)

こちらは基本的に全てオンラインで口座開設の手続きが完了するようです。ただし、身元確認の際にビデオチャットでパスポート認証を行う必要があります。

英語またはドイツ語での対応になるので、どちらかの言語が話せる方は一番手軽に口座開設が可能な銀行かもしれません。