EU諸国で働くためのビザ「ブルーカード」の申請手順・日本出国前にドイツ大使館で取得

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日本人がEU諸国で働くためにはビザが必要となります。

その中でも「EUブルーカード」は2012年に法律が施行され、高資格外国人労働者のためのビザ発給手続きや在留許可制度において様々な緩和措置がとられます。

 「EUブルーカード」は、EUの高資格外国人労働者新指令に従い、EU加盟国から発給される滞在許可証

ドイツ連邦共和国大使館サイトより

ソフトウェアエンジニアとして就職オファーを受けた場合、ほとんどの場合(年収55,200EUR以上)この「EUブルーカード」を取得することになるでしょう。

今回は、私が実際に経験した「EUブルーカード」の取得手順をご紹介します。

1. ビザ発行までのスケジュール

私は2020年10月初旬からのドイツ入国を予定しており、当時の状況はCOVID-19の影響で、日本から観光目的での入国には制限がかかっている状態でした。

現在のビザ取得・ドイツ入国に関する詳細な情報は、大使館のこちらのページに記載されています。(2020年10月16日付)

日本人の場合、観光目的で入国しドイツ国内で滞在許可(ワーホリビザ・就労ビザ)の申請ができると事前に確認しておりましたが、コロナで不透明な状況が続きそうなので、なるべく日本出国前に必要な滞在許可を取得しておくことをオススメします。

日本出国前の流れとしては以下の通りです。

  • オファー受諾
  • 就職先から契約書発行
  • 必要書類の準備
  • ビザ申請予約・大使館(東京・大阪)
  • ビザ受け取り(6ヶ月間のブルーカード)
  • 出国

全体のスケージュールとしては出国までに最短でも3週間は見積もっておいた方が無難です。

オファー受諾から契約書発行までは、あなたと会社間でのやりとりですのでそこまで時間を要することはないでしょう。

しかし、問題は大使館での申請プロセスです。まずはなんと言っても予約が取れません。。。後ほど詳細にステップを紹介しますが、WEBサイトも不親切・使いづらいです。そうはいってもこのプロセスは避けて通れないので文句言っていられません。頑張りましょう。

予約の日までに必要な書類が準備されている必要があるので、しっかりと計算して予約しましょう。一番時間がかかったのは大学の卒業証明書(英文)でした。

ビザの申請書類に不備がなければ、大使館にパスポートを預けビザを発行してもらいます。私の場合、発行までに2-3週間かかるかもしれないとのことでしたが、実際には月曜日に大使館を訪れ、その週の金曜日にはメールで完了通知をもらえました。翌週の月曜日に受け取りに行ったため、トータル1週間で発給されたことになります。

あくまで結果論ですが、運が良ければスムーズにいくこともあるようです。

また、ビザ申請の際に詳細な出国日の申告が求められますので事前に航空券を予約しておくと良いでしょう。

私の場合はビザ申請時に予約は完了していませんでした。最短で入国可能な日を申請書に記入・申告しました。

※あくまで予想ですが、その入国日から6ヶ月間のビザを発行することになるようです。ビザを受け取った際にそのことに気付きました。そのため、あまりにも遅い日にちを記入してしまうと、入国に影響がでるかもしれません。事前に航空券を予約しておくことがベストな選択でしょう。

2. 必要書類

ドイツ大使館のホームページに必要な書類の一覧が記載されています。なぜかブルーカードに関しては英語の情報しか用意されていません。(こちら

前提条件

ブルーカードに必須の要件としては、収入学位が挙げられます。

収入に関しては以下の通りです。

 To be eligible for an EU Blue Card your gross salary in Germany must add up to at least 55.200 EUR per year (for scientists/mathematicians/engineers/doctors/IT-specialists the minimum is 43.056 EUR)

ドイツ連邦共和国大使館サイトより

税引き前の年収が55,200EUR以上であることが必須です。IT企業にソフトウェアエンジニアとして就職した場合、engineers/IT-specialistsとして認識されるのかは不明ですが、その場合43,056EUR以上の年収でもOKのようです。

次に学位について。

学位に関しては実際に大使館に行くまで気にも留めていませんでした。4年制大学でエンジニアリングの学位を持っていたので問題ないだろうと高を括っていましたが、しっかりと基準が設けられていたので共有します。

ドイツ国内にANABINという海外の学位を管理しているデータベースがあり、そのデータベースに大学名の登録されていなければいけません。

必要書類

情報源はドイツ大使館のこちらのページです。2020年11月30日現在の情報を元に作成しています。

下記の書類に関して全く同じものを2部用意するよう明記されています。

卒業証明書に関してはコピーでも良さそうな雰囲気でしたが、念のためWebサイトに明記されている通りに準備しておきましょう。こういった書類作業は対応する職員によって基準が異なることもザラにあります。※パスポートサイズ写真に関しては2枚のみで問題ありません。

  • 有効なパスポート(10年以内に発行・有効期限6ヶ月以上・空白の査証欄2ページ)
  • ビザ申し込み用紙
  • パスポートサイズ写真2枚
  • パスポート顔写真ページのコピー
  • 在留カードのコピー(該当者のみ)
  • 履歴書のコピー(英文)
  • 就職先と交わした契約書
  • 大学卒業証明書
  • 75ユーロ

以上です。

  1. 一番先頭に「Employment in Germany」のリンク先が貼ってあります。ブルーカードではない通常の労働許可証のための必要書類一覧が掲載されていますが、全く同じものが下に記載されているので、無視して問題ありません。
  2. 大学の卒業証明書に関して「German university degree or recognised foreign degree comparable to a German degree」と記載があります。事前にANABINで自身の出身大学の学位がドイツで認定されているか確認しておきましょう。

私の場合は、このANABINのチェックで大使館の職員から指摘を受けました。幸い、その場で職員の方が確認をしてくださりましたが、対応者によっては書類不備で再訪しなければいけない可能性もあるでしょう。もし事前に自身の出身大学がこのデータベースに記載されている書類が作成できるのであれば、ビザ申請時に持参しておくと尚良いです。

3. ビザの受け取り

ビザ申請の書類に不備がなければ75ユーロを支払います。その後2-3週間でビザが発行される旨を伝えられました。

2-3週間もかかるのか。。と思いながらもお任せするしか方法はありません。

受け取り

実際に大使館の方から連絡があったのは月曜日にビザ申請を行い、その週の金曜日でした。ビザの受け取りは月曜日〜木曜日、11:00AM~12:00PMの1時間のみで受け付けていますので、仕事のある方は時間を作って受け取りに行きましょう。予約は不要です。

受け取りの際には、ビザ申請の際に受け取った申し込みの控えを忘れずに持参してください。

また必要書類欄に下記の2点の記載があります。(ビザの申請承認が下りた後に必要な書類として)

  • 航空券の予約票
  • 30,000ユーロをカバーした旅行保険

私の場合は、ビザ申請時にビザ受け取りの際にこれらの書類の提出が必要であるか確認したところ、必要ないと回答をもらいました。

さらに心配だったためビザの準備が整ったと連絡をいただいた際に、再度必要書類を確認しましたが特に必要ないとのことでした。

コロナの影響でこの辺りのルールが色々と変動しているそうです。みなさんも心配であれば是非確認してください。

発行されたビザ

ビザはパスポートの査証欄2ページに渡って作成されます。有効期限は6ヶ月。この段階では期限付きの滞在許可証(ブルーカード)という扱いです。

実際にドイツへ渡航して、期限の1ヶ月ほど前になると実際のカードタイプの滞在許可証への切り替えを行うことになるそうです。後日そちらの切り替えに関しても情報を共有します。

4. おわりに

なかなか慣れない書類作業ですので、しっかりと不備がないように対応しましょう。

事前に不明な点を大使館の職員にEmailで問い合わせましたが(問い合わせフォームだったかもしれません)、その対応が気持ちの良いものではなかったこともあり、ストレスの溜まる期間でした。

少しでも皆さんの参考になった内容になっていれば幸いです。

参考までに私が質問した内容も共有しておきます。

  1. ビザ申請用紙の住所は申請時のものか、最終的な住民票を残しておく住所か(当初は一人暮らしでしたが、ドイツ滞在時は実家に住民票を戻す予定でしたので確認しました)
    => ビザ申請時の住所
  2. ビザ申請時に祝日などの影響で発行の期間が長引くことがあるのか。
    => 大使館はその国のカレンダーに沿った勤務。日本のドイツ大使館であればドイツのカレンダー。日本の祝日は関係ない。