大学入学まで海外志向ゼロだった私が、いつのまにか英語バイリンガル・ITエンジニアとして働くまで #2

最終更新日

前回の続編です。

1. 大学院修士課程進学 or 長期留学

フィリピンでの1ヶ月の短期語学留学を終えた私は、本格的に英語漬けの環境を求めて色々と留学プログラムを探し始めました。とは言いつつも大学3年生の春ということで、就職活動を始めるのであればそれなりに準備が必要な時期です。周りは理系学部の学生でしたので大学院に進学する学生がほとんどでしたが、私は在籍していた学部で研究を進めることに違和感を感じていたため色々と悩んでいる時期でした。

なんとなく周りと一緒に大学院修士課程に進むか、そのお金を長期留学に当てるか。

当時の私は大学院に行くことのメリットとして、自身が研究そのものに興味が無かったため、就職活動で話せる話題作り、社会人スタートの猶予期間が伸びる程度のことしか思い浮かびませんでした。それと同時に、その研究に全く関連のない就職先を選んだ場合、その2年間が完全に無駄になるとさえ感じていました。

一方、長期留学のメリットは英語習得に加え、現地での活動が今後のキャリア形成に繋げられる可能性でした。もちろん失敗すれば、ただの遊び期間とみなされる場合もあります。また、1年間で英語が劇的に上達する保証もありません。

今後身を置く環境の選択を悩むと同時に、本格的に自分のキャリアプランについても色々と悩んでおり、漠然と外資系投資銀行かITの世界、どちらかが良いなと感じていました。当時の自分のスキルは完全に度外視した憧れベースのキャリアプランです(笑)

また英語の習得意欲はあったものの、そのスキル自体を仕事にする気はなく、あくまで利用可能なツールとして捉えていたため、英語+「自分の武器」を強く意識していました。単純に英語のスキルだけで戦うと帰国子女のレベルには敵うはずもないですし、通訳を目指していたわけでもないので必然的な選択だったと思います。

その辺りの葛藤については詳細を別の投稿で話すかもしれません。 そんなこんなで色々と悩みつつ、最終的には2年間の学生生活延長よりも1年間の留学を選択しました。

2. 1年間の長期留学を決断

留学プログラムの選択肢はいくつか考えました。語学学校留学や大学の交換留学などの選択肢があるかと思います。

私の場合は英語のためだけに留学するつもりでは無かったので、語学学校は選択肢に含めず、学部学科の授業にもそこまで興味が無かったため交換留学も候補から外しました。すると残るのは休学して自分で場所や行き先を決定する私費留学です。

お察しの通り、私費留学はプログラムが柔軟な分、コストが一番のネックです。幸運なことに私の場合は自分の貯金+家族のサポート+自治体からの奨学金など諸々を合わせて何とか資金を捻出することができました。

留学先はシアトルです。ITにそこまで詳しくない方はご存知無いかもしれませんが、アメリカではシリコンバレー(サンフランシスコ)に次ぐIT企業の拠点として有名で、AmazonやMicrosoft、Starbucks(IT企業ではないですが;)など名だたる企業が拠点を構えている都市です。

また、アジアから最も近いアメリカ本土の都市とあり、アジア系の人種も多いため食べ物などにも困らないところや、都市のサイズ的にも大きすぎず小さすぎず程よいところが好印象でした。

留学プログラムは現地のカレッジで1年間過ごすもので、最初の3ヶ月はビジネス系の英語レッスン、またクォーター末に控えるTOEFL ITPテストでスコア条件をクリアするための準備期間です。晴れてスコア条件をクリアすると、その後2クォーター(6ヶ月)をカレッジで好きな授業を取ることができ、最終クォーターに現地企業でインターンするというものでした。

また、ボストンキャリアフォーラムという留学生を対象に日系企業が採用を行うイベントが11月に開かれるため、そこに合わせてTOEICのスコアも準備していくという流れでした。留学生活についても機会があれば詳細な記事を出そうかと思います。

私の場合は最低でも留学を通して、ある程度の英語力(自分の伝えたいことを英語で伝えられる力・英語の情報源から情報を獲得出来る)とTOEIC900点以上、投資銀行かITかのキャリア選択を目指すことに決めました。

そして1年後、帰国までに上の目標は全て達成できました。極力日本の留学生との交流は控え、どっぷり現地の生活にハマることで自分でも驚くほど会話力は伸びたと思います。

TOEICスコアは留学から9ヶ月後に受験したもので935点。キャリア選択に関しても、現地の様々なテック系イベントやスタートアップ系イベントを通して知り合ったエンジニアに影響され、留学早々にITエンジニア一択となっていました。

当時は黒い画面に色々と打ち込んで作業をしているエンジニアがかなりカッコよく映り、一瞬で引き込まれたのを覚えています。エンジニアたちの自由な雰囲気もまた魅力的でした。

エンジニアになりたいなと考えている方もこの記事を読んでいらっしゃると思いますが、私のようにミーハーなきっかけでも、しっかりと勉強を積み重ねていけば未経験でもプロになれます。もちろん、1ヶ月の短期プログラミングスクールで1人前になれるほど甘い世界ではないということだけは理解しておいてもらいたいですが。(どの世界もそんなに甘くはないですよね)

現地授業ではWeb開発の基礎であるHTML/CSSの授業やモーショングラフィックスで動画を作成するものなどスキル獲得の為の授業を選択し、モノづくりの楽しさを感じることができました。

また同時に,

Codecademyなど、プログラミングの自主学習や現地のミートアップでソフトウェア開発の勉強会に参加することで実績を重ね、最終クォーターのインターンシップでは現地Web系企業でクライアントに向けてアプリケーションを実装するプロジェクトに参画することができました。

留学中はそれまでの在学期間で一番勉強したと自負しております。英語に加え、Webページの作成、コンピュータサイエンスの知識やAfter Effectsの知識(注:このスキルに関しては今現在全く役に立っておりません)など様々なことを学びました。

自分が楽しめる分野を見つけられたので苦ではなかったということと、相当な金額を投資して獲得した時間を無駄にできないという意識から無我夢中で過ごしていたため、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。もちろん途中、思うような結果が出ず諦めかけたこともありましたが、結果的には続けていたことが最終的な成果に結びつくということを実感できた期間となりました。

3. 研究室の選択

このような形で留学を終え帰国し、大学の最終学年を迎えました。研究室を選択しなければいけませんでしたが、ここでの私の選択基準はとにかくプログラミングを必要とする研究テーマを選択できる研究室でした。

一般的な選択基準は研究テーマであったり、就職に強いかなど色々あるかと思いますが、私の場合は1年間だけでしたので、とにかく自分のスキルのための選択を心掛けました。学部で卒業する理系学生であれば、その1年を無駄にしないような自分なりの選択をすることをお勧めします。

私は帰国時期が遅すぎたこともあり、もともと予定していた研究室から断られてしまったことは誤算でしたが、運よく実験系の研究室で新たにコンピュータシミュレーションを始めるための学生を探していたこともあり、そこで1年を過ごしました。

その研究室は教授の趣味で異常なほどハイスペックなコンピュータを完備していましたが、どの学生も興味がなくホコリがかぶった状態で保存されていました(笑)。私は、一からLinuxのCentOSをインストールするところから始め、コンピュータシミュレーションに必要なソフトウェアをインストールするなど、ITエンジニアとして必須であるLinux周りの経験をひと通り積むことができました。

当時はデータ処理をPythonで実装したり、Fortran(Web系の現場では全く使われていません;)という数値計算に特化したプログラミング言語でコードを書いたりしていました。他に同様の研究をしている学生や先輩がいなかったこともあり、自分で好き勝手にやりたいことができ非常に有意義な時間でした。

もちろん裏を返せば、自身で結果を出さなければいけない状況ですのでプレッシャーはありますが、自分で何かしらのアウトプットをした経験があれば問題ありません。

4. 就職活動の方針

また、就職活動では留学時のソフトウェア開発経験や英語スキルもあって何社も受けることはなく、数社の面接で決定させることができました。その際の選択基準は外国人エンジニアがいる環境+ある程度の規模のシステムを管理している環境でした。

外国人エンジニアのいる環境に関しては単純に英語を忘れないようにするためです。ある程度の規模のシステムを管理している環境については、二つの理由があります。

一つは、単純にアプリケーションを作るだけのエンジニアにはなりたくなかったからです。小さい規模のシステムの場合、どうしても機能実装が優先される傾向があり、大量のユーザーによりトラフィックをどう捌くか、どのように大規模なシステムを構築していくのかを考える機会が少ないと考えていたからです。エンジニア数は今後確実に増えていく中で、エンジニアとして差別化できる経験を求めていました。

二つ目はキャリア戦略として、大・中規模企業 => スタートアップのキャリアチェンジよりもスタートアップ => 大・中規模企業の方が圧倒的に難易度が高いと感じたからです。完全な技術力で評価されるのであれば、どの環境に身を置いていたとしても問題ありませんが、世の中そんな正論だけで回っていません。実際にどの程度の企業が選考で正しく技術力を測定できているでしょうか。その点を考慮したときにネームバリューは大事なのかなと当時は考えていました。

少し話が逸れますが、今現在、現場で働いているエンジニアとして実感していることを述べていきたいと思います。

IT企業へ就職と言っても求められるスキルは企業規模によって様々です。スタートアップであれば、サーバーなどのインフラ技術やサーバーサイドプログラミング、フロントエンドプログラミングなどフルスタックな人材の方が採用する側もコスパがいいでしょう。一方、ある程度規模の大きい企業であれば役割が分担されているため、最低限のフルスタックスキルに加え、何か一つの領域に秀でたエンジニアを求める傾向にあります。

また、様々な国籍のエンジニアと仕事をする中で、どの国のエンジニアのスキルレベルが高いなどの傾向は特に感じません。経験上、常に向上心があり、ものごとを論理的に組み立てられるエンジニアが「できるエンジニア」である可能性が高いです。とは言いつつも、実際に会社員エンジニアとして評価されるのは、いかに自分の成果をよく見せることができるかが大事になってくるのですが。。。

5. おわりに

最後の方は少し話が逸れてしまいましたが、私の場合はそういった感じで英語バイリンガル・ITエンジニアとして活動するに至りました。私の場合は、英語を先に習得し、ソフトウェア開発スキルを実務を通して本格的に身に付けていきました。

私とは反対に、学生時代からソフトウェアの開発経験を積んでエンジニアとして活動し、社会人になってから英語を勉強して〜と考える方も多いと思います。しかし、現実的に社会人になってから英語を身に付けるのは相当大変ではないでしょうか。現に私の周りもそこで苦労している方をたくさん見てきています。

実務経験を通じて身に付けるスキルと仕事以外で身に付ける何かでは圧倒的にかけている時間が異なりますし、成長速度は雲泥の差になるのは当然かと思います。

もちろん、どちらが正解だとは言えません。求めるレベルは人それぞれですしね。(あまり読者として想定してはおりませんが、英語では最低限のコミュニケーションが取れればそれで良いと考える人もいれば、そもそも日本大好きだから英語なんて話せる必要がないと考える人もいるでしょう。)

ただ今回は、私がどのように英語とITエンジニアの2軸で活動できるようになったのか経験を元に述べていくことができました。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。ご覧いただきどうもありがとうございました。